「謎床」松岡正剛、ドミニク・チェン著
ドミニクは早朝、細川幽斎ゆかりの興禅寺に行った。誰もいないモダンな枯れ山水の石庭を15分くらい堪能し、はっと気づいて、自分は何をしているのだろうと思った。そこで自分は、建物の壁面に映像を投影する〈プロジェクションマッピング〉を脳内でやっていたと気づいた。庭園の石と岩の間をゲームのキャラクターとなって飛んでいくことがゲーマーにはできるという。意識がそこに専有されることで、「梵我一如」のように現実から解放される時間を過ごせるのだ。松岡は、それは作庭師が数百年前に仕掛けていたことだと言う。
編集工学研究所所長とIT界の異才が古今東西、文化の創発力について語る刺激的な対談集。
(晶文社 1800円+税)