「DROPtokyo 2007─2017」DROPtokyo著

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 原宿を拠点にストリートファッションをスナップ撮影し、掲載してきたウェブサイト「DROPtokyo」の10年を集大成したフォトブック。道行く人々のスナップから、ファッションだけでなく、東京という街のこの10年の変化を改めてひしひしと感じる。

「DROPtokyo」がスタートした2007年は、カリスマ的人気を誇るショップスタッフや美容師が存在し、その影響力が大きかったという。当時の人気ショップ「Dog」のスタッフ「Etienne」さんは、古着を巧みに組み合わせたミリタリー風の装い、頭に巻いたスカーフがどこかエキゾチックな中東の風を感じさせる。

 以後、続々と登場する人々の装いを一言で表現するのは難しく、突き抜けたファッションがアートのように、それぞれの自己を表現する。

 ポップなイラストがちりばめられたパステルカラーの「Jeremy Scott」のスーツに、足元は月面にも降りられそうな宇宙服のようなスニーカー、そして頭は黄・紫・水色の3色ドレッドの「Matsumoto」さんが撮影された08年は、ファッションと融合したクラブイベントが盛んに行われていた時期。きっとMatsumotoさんもそんなイベントに出かけるためのとっておきの装いだったのだろう。

 以後、ウィッグから20センチはあろうかという厚底のブーツまで全身真っ白な装いに宝塚ばりの大きな羽の頭飾りを着けた「Vivienne Sato」さん(写真①=09年)、ほとんど下着姿のようなわずかな布だけを身に着けた「LEOCANDYCANE」さん(写真②=12年)、そして、シワひとつない真っ白なシャツに黒のジャケットと、一見するとスキのないノーマルな装いだが、パンツの上からさらにスカート状の布をエプロンのように巻きつけ正調の中に破綻をあえてつくり出す「Ryo Tominaga」さん(写真③=14年)ら。

 平日はスーツ、休日はジャージーで過ごすおじさんたちが、街中ですれ違ったら、思わず振り向いてしまいそうなファッションにうなる。

 みんながインスタグラムを利用するようになった13年ごろからは、ストリートのトレンドはショップやブランドではなく、インスタグラマーから生まれるようになったという。そんなストリートの潮流を解説しながら、それぞれの年の強烈な存在感を放つおしゃれな若者たちを次々と紹介。

 巻末のインタビュー特集に登場するユナイテッドアローズの創業メンバーのひとり、栗野宏文氏は、日本人がおしゃれな理由は、世間が服装によって階級をジャッジしないから「何を着ても構わない」、そして服がモテるための道具である欧米と違って、「服による性的誘惑が求められない」からだと説く。

 確かに、10年間を通して見ていくと、ファッションにおける性差の境界が年を経るごとにあいまいになってきているように感じられる。何よりも、時代を象徴する200余人の個性的なファッションは、見ているだけで刺激的だ。

 (集英社 2200円+税)

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