「べんけい飛脚」山本一力著

公開日: 更新日:

 寛政2(1790)年師走、加賀藩から江戸と金沢を結ぶ飛脚御用を請け負う浅田屋の主・伊兵衛を、道具屋(書画骨董屋)の善吉が訪ねてきた。善吉は伊兵衛に、加賀藩5代藩主・前田綱紀の従者がしたためた書物「享保便覧」を見せる。1年前、浅田屋の飛脚が公儀の嫌がらせで窮地に陥った前田家を救った。

 以来、伊兵衛は老中松平定信の恨みを買い、四六時中、監視されていた。

 綱紀は外様大名でありながら、孫ほども年が違う将軍・吉宗に頼りにされており、その吉宗の孫が松平だった。

 善吉は、66年前に亡くなった綱紀と吉宗のことを記したこの書物に、前田家と浅田屋の安泰の鍵があると話す。

 加賀藩の命運を託された男たちの熱い心意気が感動を呼ぶ時代長編。

(新潮社 750円+税)



最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動