「猪・鹿・狸」早川孝太郎著

公開日: 更新日:

 大正15(1926)年に刊行された民俗学の名著の復刻。愛知県南設楽郡長篠村横山(現在の新城市)に生まれ育った著者が、自らの体験と、古老から聞きためた猪・鹿・狸にまつわる逸話を紹介する。

 幼いころ、父が遠出して留守の夜中、狩人が小猪(こぼう)を撃ったが家まで運ぶ道具がないと、背負子を借りにきたことがあったという。当時の狩人や猟師のそんなエピソードから、腹痛の妙薬として珍重された猪の胆や、冬の早朝、何千という鹿の群れが山の峰を目掛けて走り去っていくのを見たという杣(そま=林業従事者)の話、誰かが忘れた鍬を使って大男に化けて通行人を通せんぼする狸など。伝説や昔話を交えながら、山里の暮らしを書き残す。

 (KADOKAWA 1000円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動