「謎々 将棋・囲碁」新井素子ほか著
将棋・囲碁の中・短編小説をそれぞれ3編ずつ編んだアンソロジー。
例えば葉真中顕の「三角文書」。舞台は超未来、主人公は宗教家にして考古学者のヒフミーン・メイ=ジーン。今、彼が手にしているのは超古代文明の遺跡に保管されていた「三角文書」だが、そこには「▲7六歩△8四歩」という将棋の棋譜記号そっくりの不思議な文字が刻みこまれていた。
宮内悠介の「十九路の地図」の主人公は愛衣。幼いころ祖父から囲碁を教わったが、その祖父は交通事故で植物状態に。ただひとり病院に通い続ける彼女の日課は祖父の手をさすりながら、「十六の四星」と口にすることだった。その言葉に反応して意識を取り戻す奇跡を期待してのことだった。が、応答のない日々が続く。そしてある日、祖父は突然2手目を打ってきた。だがそれは――。
将棋・囲碁を知らない人でも十分に楽しめる6編。
(角川春樹事務所 1300円+税)