「百貨店の展覧会」志賀健二郎著
百貨店といえば高品質商品を販売しているというイメージがあるが、一方で、販売を目的としない文化的な催し物を頻繁に行ってきた。その歴史は1904年の三越に始まり、特に戦後は都心の百貨店が競うように取り組んだ。
展示されたものは多岐にわたる。国宝級の美術品のみならず、今では多くの美術館で当たり前に扱われている写真、映像、漫画などサブカルチャー的な展覧会も比較的早い時期から展示していた。
そして50年代からは寺社展を中心に国宝・重文などの文化財による展覧会を頻繁に開催してきた。
こうした展覧会は企業の社会貢献といった肩肘張ったことでなく、日常の営業の中で行われてきたという。
百貨店展覧会の歴史を網羅的にまとめた貴重な記録。 (筑摩書房 2500円+税)