「人みな眠りて」カート・ヴォネガット著 大森望訳
新聞社の社会部長のハックルマンの関心はニュースだけで、クリスマスなど眼中にないが、商工会議所の会頭を務める社主から、クリスマスのイルミネーションコンテストの広報部長に任命されてしまう。優勝者を決めるため、部下と一緒に夜な夜な応募作を見て回っていたハックルマンは、前科者のグリボンと再会する。賭博の胴元だった彼は、脱税容疑で逮捕されたが、刑期を終えて出所したようだ。別名を名乗り、豪華な屋敷に住む彼のイルミネーションは他の追随を許さぬ出来栄えだった。しかし、数日後、彼のイルミネーションに使われていた石膏像が何者かに盗まれ、懸賞金がかけられる。(表題作)
名手の生前未発表作品16編を収録した短編集。
(河出書房新社 920円+税)