「吉行和子・冨士眞奈美おんなふたり 奥の細道迷い道」吉行和子・冨士眞奈美著
30年以上の句会歴をもつ女優、吉行和子と冨士眞奈美が、松尾芭蕉の「奥の細道」をたどって松島に吟行の旅に。冨士が、旅を栖(すみか)にして野垂れ死にしてもいいというのは、男の生き方の一つの典型だと言うと、吉行は、それができないからみんな芭蕉に憧れると喝破する。冨士の父は新聞記者で、酔っぱらうと「俺は畳の上では死ねない!」と泣いた。吉行の父は作家で、あまり家に帰らず、34歳で死んだ。芭蕉は男同士でしか旅に行かない。「女連れじゃいろいろ揉めるもんね(笑)」と冨士。2人は奧の細道の出発点の千住で句を詠む。「千住にて夏の夜の夢観劇す(吉行)」「白日傘千住の駅に忘らるる(冨士)」
読んでいると一句ひねってみたくなる、楽しい俳句トーク本。
(集英社インターナショナル 1400円+税)