「本屋の新井」新井見枝香著
読み終えたばかりの本についてつづった渾身のツイートが、晩飯のラーメンの写真に「いいね!」の数で負けた。画像は雄弁だ。
スマホが普及し始めた頃、書店で料理本のレシピ部分を撮影する人がいたが、諦めるしかないのか。
そんなとき、サイン会に参加したお客のとろけるような笑顔と、怖そうなイメージの作家のひょうきんなポーズを収めた1枚を、本人の了解を得てツイッターにアップしたら、大きな反響を呼んだ。書店員にとって神経をとがらせるものだったシャッター音が「いいね!」に聞こえることもあるのだ。
独自に文学賞「新井賞」(賞金なし)を設置した書店員の日々を描くエッセー。
(講談社 1300円+税)