「おいしい旅」太田和彦著
居酒屋探訪家が旅先で堪能した名店の味をつづるグルメ紀行エッセー。
まずは2度目の北陸新幹線で金沢へ。ホテルで旅装を解いて向かったのは、顔なじみの店「おでん高砂」。基本は屋台商売のため、注文から10秒で冷めないように厚手のコップにポットから注がれた酒が出てくる。それを一口含んでから、おでんをオーダー。お目当ての「かに面」は季節が終わってしまっていたが、ショウガ味噌で食べる牛スジや、大ぶりのバイ貝、おつゆをたっぷりと吸った車麩に舌鼓を打つ。
その他、京都・祇園「平安」の「カラシソバ」、初めて訪ねた佐渡の居酒屋「伊麻里」の「フグ煮魚」、そして東京では美術館巡りとともに味わう老舗天ぷら屋の天丼など。ひとときの口福をお裾分けするシリーズ第2弾。
(集英社 730円+税)