「日本の居酒屋」太田和彦著
その土地の風土、歴史、産物のすべてが反映して一つの文化を形成する居酒屋ほど、県民性が表れるところはないと著者は言う。全国を飲み歩いてきた著者が、居酒屋から見えるそんな各地の県民性をつづった酒場エッセー。
日本のビール製造の原点である北海道の居酒屋は、ビールの扱いに慣れており、どこで飲んでも内地よりうまいという。
同地の居酒屋の基本は「炉端焼き」。食材が良いので焼くのが一番など、諸説があるが、氏は開拓民の当時の住居に備えられていた大きな炉がそのルーツだとみる。
極寒の地では燃える火こそが命の証しで、そこに料理があるのが安心の根本になるからだ……という具合に全都道府県を網羅、各地のお薦め居酒屋も紹介。(朝日新聞出版 760円+税)