「銀座の酒場を歩く」太田和彦著
資生堂宣伝部にデザイナーとして勤務していた著者にとって、思い入れが深い街・銀座を飲み歩く酒場エッセー。
3丁目の居酒屋「ささ花」は昭和59年開店(現在は1丁目に移転)。酒品書きには主人が蔵元に何度も足を運びそろえた日本酒の逸品が並び、肴にはその日に五島列島のはえ縄漁で取れた魚が出される。清潔上品な店で、気軽においしい料理と日本酒を楽しむという、誰もが望む店がここにあると記す。ささ花を出て向かうのは、能楽堂ビル5階のバー「テンダー」。バー=薄暗いというイメージを一掃した店内は、明るく洗練された華やかさに満ちている。バーで味わうべきは、酒のみならず、オーナーの美学であると説く著者が、銀座の名店73軒を飲み歩く。(筑摩書房 820円+税)