「貸本屋のぼくはマンガに夢中だった」長谷川裕著
1957(昭和32)年、著者の両親が貸本屋を開業。著者の名をとって「ゆたか書房」と名付けられた店の軌跡をつづったノンフィクション。
当時は貸本屋ブームで都内だけで3000店もがひしめき合っていた。親戚の出資を受け練馬区・下赤塚駅近くで開業した店の売り上げは、当初は順調だったが、2週間後に近所にライバル店が出現し、激減。知り合いの同業者の助言で危機を乗り切った両親は、やがて2号店を池尻大橋に出店する。そのころになるとマンガ好きの子供だった著者は、仕入れの手伝いをするようになったという。
貸本屋経営の悲喜こもごもを語りながら、貸本屋のシステムや貸本マンガの魅力など貸本文化の詳細を紹介する。
(草思社 900円+税)