「フランス座」ビートたけし著
大学をドロップアウトした俺は、何の気なしに浅草・フランス座のエレベーター番のアルバイトを始める。1カ月ほど経った頃、舞台芸人の深見千三郎に「コメディアンは何でも出来ないとダメだ。暇なときはタップかギター、本を読め」と声をかけられ、以来、コメディアン志望の若者になってしまった。
そんなある日、深見が「ポン引き」というコントを舞台にかけた。見事な掛け合い、知識の豊富さに俺は感服。深見を師匠と呼び、舞台やプライベートで芸人としての在り方を教わるようになる。ところが、いつしか師匠は俺とコントをやってくれなくなる。すると、芸人の兼子が「ツービートと名乗り、漫才をしよう」と声をかけてきた。
昭和の浅草芸界を舞台にした、自伝的青春小説。
(文藝春秋 1300円+税)