「天文方・伊能忠敬出奔」小杉健治著
文化14(1817)年、間宮林蔵が蝦夷地から八丁堀の伊能忠敬邸に帰還する。17年前に伊能がやり残した部分の測量を間宮に依頼していたのだ。これで全国の測量が終わり、いよいよ日本地図の製作に取り組むことができる。73歳の伊能の脳裏にこれまでの日々が蘇るのだった。
伊能がまだ三治郎と名乗っていた16歳のとき、継母と折り合いが悪くなり、実家を出奔。佐原の宿場で知り合った香具師の十蔵について江戸を目指す三治郎だが、道中、十蔵は待ち伏せしていた男たちに命を狙われる。十蔵と別れ、ようやく江戸に着いた三治郎だが、十蔵は待ち合わせの場所に現れない……。
伊能忠敬の青春時代を描く時代小説。 (朝日新聞出版 640円+税)