「予言の島」澤村伊智著

公開日: 更新日:

 天宮淳の幼馴染みの大原宗作が上司のパワハラを受け自殺を図った。一命は取り留めたものの心を閉ざしていた宗作を励まそうと、やはり幼馴染みの岬春夫の提案で3人で旅行することに。

 行き先は瀬戸内海に浮かぶ霧久井島。同島は、彼らが小学生の頃、一世を風靡した霊能力者・宇津木幽子が生涯最後の予言をした場所。予言によると20年後の2017年8月25日にこの島で《霊魂6つが冥府へ堕つる》という。その予言を確かめに行こうというのだ。

 島に着くと、怨霊が下りてくるという理由で予約していた宿がキャンセルに。3人は別の宿を見つけるが、その宿には宇津木幽子に心酔する霊能者・虚霊子、強烈なマザコン親子、宇津木の孫娘・沙千花といった、いわくつきの面々が集まっていた。島の人たちはよそ者の彼らに口を閉ざし、不穏な雰囲気をたたえていた。そんな中、幼馴染みの1人が遺体で発見される。さらに第2、第3の犠牲者が。宇津木の予言は果たして実現するのか……。

 さまざまな謎が錯綜しながら最後に意想外な事実が明かされ、頭から読み直さずにはいられない。ホラー風味をたっぷり加えた新機軸のミステリー。

(KADOKAWA 1600円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐々木朗希を徹底解剖する!掛け値なしの評価は? あまり知られていない私生活は?

  2. 2

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  3. 3

    佐々木朗希「通訳なし」で気になる英語力…《山本由伸より話せる説》浮上のまさか

  4. 4

    金田ロッテはキャンプ中に「生理(性処理)休暇」を堂々と導入!監督就任翌年に日本一を達成した

  5. 5

    故みのもんたさん 闘病生活の中で本紙に語っていた「老い」と「人生最期の願い」

  1. 6

    大阪・関西万博もう間に合わず? 工事未完を「逆転の発想」で楽しむ方法…識者が皮肉たっぷり提唱

  2. 7

    ドジャース佐々木朗希まさかの「先発白紙」はむしろプラス…《メジャーレベルではない》の声も

  3. 8

    山田涼介のソロ活動活発化で“亀梨和也のトラウマ”再燃…Hey! Say! JUMPファン戦々恐々

  4. 9

    巨人・田中将大 戻らぬ球威に焦りと不安…他球団スコアラー、評論家は厳しい指摘

  5. 10

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇