人生後半戦 50歳から充実させる力を養う本特集
「50代からの『稼ぐ力』」大前研一著
人生50年をすぎると、若い時とは違ったさまざまな課題が見えてくる。あれこれ頭を悩ますことが増えたなら、人生後半戦を充実させるための本を読んでみるのはどうだろう。今回は、50歳からを見据えた稼ぎ方、ライフシフト、考え方、孤独、語彙の5テーマで厳選した本をご紹介!
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生涯現役や雇用改革などが叫ばれる昨今、年金支給額の減額や受給開始年齢の引き上げなどが施行されれば、多くの人が老後破産に追い込まれる状況下にある。本書では、これからの人生に必要な「稼ぐ力」をどう身につけるか、今の50代が高齢者となる近未来の日本を予測しつつ、その方法論とアイデアを紹介している。
お勧めなのは、会社から給与をもらっているうちに自分でキャッシュを作り出す力=稼ぐ力を磨くこと。自営は自衛だとして、50代からは月15万円を目標にキャッシュを稼げるビジネスに挑戦し、定年後に拡充することを提案している。サイバーマーケティング分野や借金なしの不動産ビジネスへの挑戦なども狙い目だとか。出世競争から降りて、人生の競争で勝つ準備を始めるのも悪くない選択だ。
(小学館 1400円+税)
「50歳からの孤独入門」齋藤孝著
50代になると、仕事では自分の限界と向き合うことになったり、家庭では介護や老いなどの問題に直面したりする機会が増えてくる。さらに子どもの自立や、親しかった友人や恩人との別れなども起こり得るため、人は孤独になりがちだ。本書は、人生の危機を迎える50歳という局面で、孤独をどう乗り越えるかを示した書。
例えば、後悔や自責、嫉妬など、ネガティブな感情が生まれてきた時の対処法として、人に認めてもらうのは必要ではないと知ること、若さと競争しないこと、高田純次のように世間の目と無縁な生き方を知るなどの方法を紹介している。
さらに著者は、自身を個として捉えるのではなく、次世代に何を残せるかを考えて生きるという処方箋も提案。後半生をより良く生きるためのヒントになりそうだ。
(朝日新聞出版 750円+税)
「50歳すぎたら、『「まあ、いいか』『それがどうした』『人それぞれ』でいこう」弘兼憲史著
50歳を越えると、仕事から離れてから自分がどう生きるかという問題に直面する。妻との関係、子の自立、親の介護、自身の老化などの問題も目前に迫ってくる。眉間にしわが寄ってしまう、そんな数々の問題が起こった時、乗り越える助けになるのが、「まあ、いいか」「それがどうした」「人それぞれ」という3つの魔法の言葉。本書は、この3つの言葉が示す50代から楽しく生きるための人生哲学を説いた書だ。
著者が提案する行動のひとつは、背負いすぎた荷物を下ろすこと。広い家が必要かどうか、多すぎる友達が負担になっていないか、年賀状や盆暮れの届け物が必要かどうかを点検し、不必要なら手放し、荷物を軽くすることを推奨。
人生後半を楽しく生きるために、肩の力を抜いた生き方を提示している。
(幻冬舎 1100円+税)
「実践!50歳からのライフシフト術」大野誠一、豊田義博ほか著
人生100年時代を迎えつつある昨今、ひとつの会社を勤め上げて定年を迎え引退する人生設計は、ほぼ崩壊している。本書は、人生の途中でこれまでとは違う仕事にチャレンジしたり、働く場所や働き方を変えたりした22人の声を集めたインタビュー集。どのように新たな道を見つけて人生を変化させたか、その具体例を知ることができる。
たとえば、富士通の営業職だった男性は、髪をカットしてもらったことで積極的に外出するようになったひきこもり女性を取り上げた新聞記事に感銘を受け、定年後に福祉分野の美容師になることを決心。50歳で美容学校の門を叩いて、通信教育に加えて実技講習を重ね、6年で免許取得。60歳で美容室をオープンしたのだとか。
自分ならどんなことができるか、本書を参考にしてみてはいかが。
(NHK出版 1500円+税)
「50歳からの語彙トレ」菅原圭著
人間関係は会社の決まった人との付き合いだけという人も、50歳をすぎるとご近所や趣味の仲間などとの関わりが重要になってくる。ここで大切なのが語彙力。
多様な背景を持つ人と付き合うには、ちょっとした一言で失敗しないための会話力が必要だからだ。本書は、とっさの場面で好感を得られやすいフレーズ、言ってはいけないNGワードなどが、分かりやすく解説されている。
定年後に避けたいのが「どちらにお勤めでしたか」などの会社ワード。心地良い話題になるか分からず、会社名を聞くのは地雷になりやすい。
背景を聞きたいなら「どういうお仕事をされてきたのですか」と仕事の領域を聞く方が無難だ。聞かれた時も「○○部長だった」「〇大卒だった」など、マウンティング合戦に発展しないようご用心。
(大和書房 680円+税)