「もうどく水族館水中&水辺の“毒”生物大集合!」サンシャイン水族館著
「怖いもの見たさ」という言葉があるように、人間には危険だと分かっていても自ら近づいてしまう習性があるようだ。サンシャイン水族館が毒をテーマにした特別展を企画したところ、30万人以上も動員したという。
本書は、その書籍化で、これまで特別展で取り上げた生物に新たな仲間を加え、約50種もの有毒生物を紹介するカラー図鑑。
食用として高値で取引される「マダコ」も実は毒を持っている。毒は唾液腺にあり、毒の成分である「セファロトキシン」には麻痺作用があるとされ、噛むことによって獲物の動きを止める効果があると考えられている。
マダコは、軽症の危険性がある毒レベル1だが、同じタコの仲間「オオマルモンダコ」は、死亡する危険性が高い毒レベル5。青い輪状模様と黄色い体色が美しいタコだが、テトロドトキシンという猛毒を持つ。オオマルモンダコの生息海域はインド・西大西洋だが、毒性が同じ「ヒョウモンダコ」は東京湾など日本各地で目撃情報があるという。
時速130キロ以上のスピードで発射した刺胞で標的に毒を注入する「アカクラゲ」や、ハブの70倍もの毒を持つ「エラブウミヘビ」、名前とは裏腹に「3大猛毒ガニ」のひとつに数えられる「スベスベマンジュウガニ」など。どれも美しい体色や模様、かわいらしい容姿を持ち、つい手が出てしまいそうな生き物ばかり。
中には、傘の大きさが2センチほどの「カギノテクラゲ」などという小兵もいるから要注意。海藻や岩にくっついて生活しているため、潮干狩りや磯遊びの時に刺されたり、海藻についているのに気づかず食べてしまい全身麻痺に陥るケースもあるというから恐ろしい。
ちょっと変わった生き物図鑑として、そして夏に備えた実用書としても役立つお薦め本。
(KADOKAWA 1200円+税)