「京都の闇」関裕二著
■平安京誕生の秘密を読み解く
弥生時代の終焉と建国事業は、なぜ交通の要衝であり、水の都でもあった京都ではなく、奈良の大和で始まったのか。そして桓武天皇は、なぜ平城京を捨て、長岡京、平安京へと遷都を繰り返したのか。
九州や出雲、吉備などの西側と近江、東海の東側との勢力争いの構図からその地勢的背景を考察。その勢力争いの影響が後の平安京遷都へとつながったと著者は指摘する。京都の基礎を築いた秦氏と平安京の関係、そして平安京の多くの謎が凝縮されている広隆寺など。
今もにぎわう観光名所の裏事情を語りながら、平安京誕生の秘密を解き明かし、歴史の深層に迫る古代史読み物。
(講談社 1400円)