「介護殺人」毎日新聞大阪社会部取材班著
過酷な介護の果て、愛していたはずの肉親を殺してしまった加害者たちの「その時」を取材した衝撃のノンフィクション。
2012年、認知症の妻の首を絞め、自らも睡眠薬を飲んだが一命をとりとめた木村茂氏(仮名=75)。定年後、車で各地を旅する2人は自他ともに認めるおしどり夫婦だった。
しかし、妻の言動が次第におかしくなり、11年に認知症と診断される。症状は悪化の一途をたどり、茂は毎夜、眠らず騒ぐ妻を乗せ、一晩中車を走らせた。限界を感じ施設を探すが、受け入れてくれるところはなく、ついに妻の首をタオルで絞めてしまう。
その他、事故で寝たきりの母親や、障害者の息子らを殺してしまった加害者の心のうちに迫り、この国の介護、福祉の現状を浮き彫りにする。 (新潮社 550円+税)