「親を送る その日は必ずやってくる」井上理津子著
相次いで両親を亡くしたノンフィクション作家がその看取りの日々をつづったドキュメント。
2008年4月、母を乗せた救急車に同乗する義姉から連絡が入る。両親の近所に暮らす義姉によると、一緒に夕食の準備中、揚げ油を浴びてしまったという。やけどは体表の7%に及んだが、幸い命に別条はなく、医師は2、3日後には退院できると告げる。
しかし、2日後の早朝、義姉に代わって認知症の症状が出始めた父を見守るため実家に泊まっていた著者は、母が危篤に陥ったとの電話で起こされる。
生命維持装置を外す決断を迫られたり、入院費や葬儀代の工面、そして4カ月後に後を追うように逝った父親の最期まで、両親の死と残された者の葛藤を赤裸々につづる。
(集英社 700円+税)