「熱狂と幻滅」 田村剛著
1810年にスペインから独立して以来、コロンビアの歴史は暴力の繰り返しだった。だが、2010年に就任したサントス大統領が社会主義革命を目指すゲリラ組織FARCと和平交渉を始め、6年後、和平合意が結ばれてFARCは武装解除し、合法的な政党となる。土地を持たない農民に300万ヘクタールの土地が分配されることになり、野党の政治参加や、市民がデモをする権利が保障された。
10月2日、この和平合意の是非を問う国民投票が実施された。ところが、テレビの開票速報の結果は、賛成派圧勝という世論調査の見通しとは異なるものだった。
中南米特派員だった朝日新聞記者が、コロンビア和平の実情と背景に肉薄するルポルタージュ。
(朝日新聞出版 1500円+税)