「天丼 かつ丼 牛丼 うな丼 親子丼」飯野亮一著
国民食ともいえる丼物の各ルーツと、人気食へと成長したその経緯を追う食文化史エッセー。
丼物の誕生は、日本の食文化史における一つの革命だったと著者はいう。天ぷらそばなどはあったが、それをご飯にのせるという発想がまだなかった江戸時代、今からおよそ200年前の文化年間に革命が起きた。
うなぎ屋が新たな客層を掘り起こそうと、酒のさかなとして売られていたかば焼きに「つけ飯」を始めた。そんな中、うなぎ好きの大久保令助という男が、冷めないように丼の飯の間にかば焼きを挟ませて芝居小屋まで届けさせた。そんな「うなぎ飯」がやがてうな丼へと変化していったという。以降、天丼、親子丼、牛丼、かつ丼の順番で続々と誕生していった丼物事始めを多くの史料をひもときながら解説する。
(筑摩書房 1200円+税)