「ファミリーポートレイト」桜庭一樹著

公開日: 更新日:

 コマコは、母親のマコがいつも何かから逃げているように感じていた。元女優のマコは、コマコの目から見ても美しい人だった。そのマコから「コマコ、逃げるわよ」と言われた時、口が利けない5歳のコマコは置いていかれないよう慌てて母親の手を取った。マコの足にはぺたっと赤いものが付いていた。

 公営住宅を出て列車に乗った2人が行き着いたのは山奥の無人駅だった。通りすがりの青年の軽トラックに拾われた母娘は、村の診療所に住み着く。青年は村で唯一の若者で、役場勤務の要だった。コマコは要から字を教わり、本を読むことを覚える。そんな中、夜ごとに要が診療所を訪ねてくるようになり、やがてマコのお腹が膨らみ始める。

 母と娘の逃避行から始まる長大な家族小説。

(集英社 990円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  2. 2

    “氷河期世代”安住紳一郎アナはなぜ炎上を阻止できず? Nキャス「氷河期特集」識者の笑顔に非難の声も

  3. 3

    不謹慎だが…4番の金本知憲さんの本塁打を素直に喜べなかった。気持ちが切れてしまうのだ

  4. 4

    バント失敗で即二軍落ちしたとき岡田二軍監督に救われた。全て「本音」なところが尊敬できた

  5. 5

    大阪万博の「跡地利用」基本計画は“横文字てんこ盛り”で意味不明…それより赤字対策が先ちゃうか?

  1. 6

    大谷翔平が看破した佐々木朗希の課題…「思うように投げられないかもしれない」

  2. 7

    大谷「二刀流」あと1年での“強制終了”に現実味…圧巻パフォーマンスの代償、2年連続5度目の手術

  3. 8

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ

  4. 9

    野村監督に「不平不満を持っているようにしか見えない」と問い詰められて…

  5. 10

    「今岡、お前か?」 マル秘の “ノムラの考え” が流出すると犯人だと疑われたが…