「ガラスの虎たち」トニ・ヒル著 村岡直子訳
1978年12月15日の夜、スペイン・バルセロナの「ラ・サテリア」と呼ばれる貧困地区で14歳のホアキンの遺体が見つかる。37年後、義父が営むホテルチェーンで働くビクトルは、支配人として故郷のバルセロナのホテルに単身赴任する。ビクトルは、駐車場の警備員の面接で少年時代の親友・フアンペと再会する。
経済危機で職を失ったフアンペは、ラ・サテリアの実家に戻ってきたという。以後、フアンペから何度も連絡が入るが、ビクトルは彼と再び会う気になれない。しかし、断り切れずにある夜、意を決して彼の家を訪ねると、フアンペは案の定、37年前のあの事件の夜のことを持ち出してきた。
いじめや家庭内暴力、虐待、貧困など現代の病理を通奏低音に描くスペイン発長編ミステリー。
(小学館 1200円+税)