「未来へ 原爆の図丸木美術館学芸員作業日誌」岡村幸宣著
2011年3月11日、足元が大きく揺れたので、原爆の図丸木美術館の学芸員である著者は企画展のベン・シャーンの作品の無事を確認する。ビキニ環礁の水爆実験を契機に丸木位里と俊は「原爆の図」を描き、ベン・シャーンはラルフ・ラップのルポルタージュ「福竜丸」の挿絵を描いた。
目黒区美術館は、太平洋の両岸から脅威を見つめようとした両者の視線を交錯させようという企画展を計画した。だが、その作品搬入直前に連絡が入る。目黒区芸術文化振興財団で緊急会議が開かれ、イメージ的に地震の大惨事などと重なるという反対意見が出て、中止が決定したというのだ。
「原爆の図」を巡るさまざまな出来事をつづった学芸員の日誌。
(新宿書房 2400円+税)