「ロレンスになれなかった男」小倉孝保著
1970年、青年海外協力隊員としてシリアに派遣された岡本秀樹は、以前映画「アラビアのロレンス」を見て、アラブで空手を教えるのも悪くないと考えていた。第1回世界空手道選手権大会にシリアのナショナルチームが参加することになったが、エジプトのナセル大統領が急死。ナショナルチームの東京派遣中止という騒ぎになり、岡本は「アラブ」という民族意識の強さを実感させられた。
その後、輸出ビジネスやカジノ経営などに失敗し、空手の指導に専念していたが、岡本の指導を受けたいと、バグダッドに向かったクルド人が逮捕されるという事態に。岡本はフセイン大統領の息子、ウダイに尽力を頼む。アラブで空手を広めた男の人生を描くノンフィクション。
(KADOKAWA 2200円+税)