「エンド・オブ・ライフ」佐々涼子著

公開日: 更新日:

 在宅の患者を支える渡辺西賀茂診療所に、京大医学部付属病院から、末期がんの木谷重美を一時帰宅させたいという打診があった。

 家族で潮干狩りをするという、たった一日の思い出づくりをかなえるために、酸素ボンベなどを車に載せて、男性看護師、森山文則ら3人が同行することになった。車椅子で海に入り、重美は潮干狩りに興じる子供たちを見守っていた。帰りの車の中で呼吸状態が悪化した重美を、家族の希望を入れて、森山は自宅に送り届けた。重美は自宅で息を引き取る。

 5年後、森山にすい臓がんが見つかった。森山は取材に来た著者に「僕は僕自身であって、『がん患者』という名前の人間ではない。普段はがんを忘れ、日常生活という、僕の『人生』を生きていきたいんです」と語った。

 在宅患者をサポートする終末医療を描くノンフィクション。

(集英社インターナショナル 1700円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    “マジシャン”佐々木朗希がド軍ナインから見放される日…「自己チュー」再発には要注意

  2. 2

    佐々木朗希“大幅減速”球速160キロに届かない謎解き…米スカウトはある「変化」を指摘

  3. 3

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  4. 4

    ヤクルト村上宗隆 復帰初戦で故障再発は“人災”か…「あれ」が誘発させた可能性

  5. 5

    石橋貴明のセクハラに芸能界のドンが一喝の過去…フジも「みなさんのおかげです」“保毛尾田保毛男”で一緒に悪ノリ

  1. 6

    フジの朝ワイド「サン!シャイン」8時14分開始の奇策も…テレ朝「モーニングショー」に一蹴され大惨敗

  2. 7

    「皐月賞」あなたはもう当たっている! みんな大好き“サイン馬券”をマジメに大考察

  3. 8

    セレブママの心をくすぐる幼稚舎の“おしゃれパワー” 早実初等部とアクセスや環境は大差ナシ

  4. 9

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  5. 10

    下半身醜聞・小林夢果の「剛毛すぎる強心臓」…渦中にいながら師匠譲りの強メンタルで上位浮上