「パルプ・ノンフィクション」三島邦弘著
著者がこの業界に入ったとき、「このしごとが好きなんです」という声があまり聞こえないことに驚いた。「売れる本をつくらないと」とつぶやく先輩たちの顔に輝きはなかった。
著者は楽しくやれば結果はついてくると思ってミシマ社を設立したのだが、14年目を迎えて4日目に、会社がツイラクの危機に直面した。会社をチキュウに見立てると、チキュウが回転するためには中心のマグマがいきいきと燃えたぎっていなくてはならない。多くの会社は効率化の果てにマグマの死が起きたが、ミシマ社では効率性を軽視したために「好き」を生かせない事態になっていたのだ。
崖っぷちに立った野生派出版社の奮闘記。
(河出書房新社 1800円+税)