「ザ・ギャンブラー」ウィリアム・C・レンペル著 上杉隼人訳

公開日: 更新日:

 1960年代末、アメリカの実業界にどこからともなく1人の男、カーク・カーコリアンが現れた。ギャンブルを好み、中学しか出ていないが50歳にして突然大金持ちになった男――。飛行士でもあった彼は、戦後の苦境時に小さな航空輸送サービスを手掛け、それをのちに売却して巨万の富を得る。そして根っからのギャンブラーだった彼は、発展しつつあったラスベガスに目をつけ、その資産をレジャー産業につぎ込む。

 60年代当時、世界最大だったインターナショナル・ホテルをラスベガスにつくり上げ、続いてMGMグランドホテルとカジノをオープン。やがて映画会社や自動車会社を買収、一方でエルビス・プレスリーをスターに押し上げていく……。

 アルメニア移民の一文無しから逆転に次ぐ大逆転劇を果たしたカーク・カーコリアンの知られざる生涯をつづったノンフィクション。

 所有するホテルやレストランでは無料を嫌い、慈善活動に熱心だった。名前を明かさない約束で寄付し、感謝の言葉を公にされることは一切固辞したという。大胆にして謙虚。ビジネスの神様と呼ばれた男の冒険小説のような人生に迫る。

(ダイヤモンド社 1800円+税)

【連載】週末に読みたいこの1冊

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  2. 2

    フジ火9「人事の人見」は大ブーメラン?地上波単独初主演Travis Japan松田元太の“黒歴史”になる恐れ

  3. 3

    PL学園で僕が直面した壮絶すぎる「鉄の掟」…部屋では常に正座で笑顔も禁止、身も心も休まらず

  4. 4

    石橋貴明のセクハラに芸能界のドンが一喝の過去…フジも「みなさんのおかげです」“保毛尾田保毛男”で一緒に悪ノリ

  5. 5

    三浦大知に続き「いきものがかり」もチケット売れないと"告白"…有名アーティストでも厳しい現状

  1. 6

    松嶋菜々子の“黒歴史”が石橋貴明セクハラ発覚で発掘される不憫…「完全にもらい事故」の二次被害

  2. 7

    伸び悩む巨人若手の尻に火をつける“劇薬”の効能…秋広優人は「停滞」、浅野翔吾は「元気なし」

  3. 8

    今思えばゾッとする。僕は下調べせずPL学園に入学し、激しく後悔…寮生活は想像を絶した

  4. 9

    フジテレビ問題「有力な番組出演者」の石橋貴明が実名報道されて「U氏」は伏せたままの不条理

  5. 10

    下半身醜聞の川﨑春花に新展開! 突然の復帰発表に《メジャー予選会出場への打算》と痛烈パンチ