「マル農のひと」金井真紀/文と絵
全国各地で「流しの農業技術指導員」をやっている道法正徳さんは周防大島でのセミナーで、「私のやり方は、とにかく縛るんです」と言った。縛るだけで肥料をやるより元気に大きく甘く育つのだ。
道法さんが従来のやり方に疑問をもったのは、日当たりをよくするためにミカンの剪定をした時だった。半年後には実がたくさん付くが、次の年は実が激減する。剪定しなかった木には最高級のミカンがなったのに。
道法さんは苗木の新芽を誘引するためにふわっと縛っていたのだが、能美島で出会った吉田正之さんはミカンの苗木をぎゅうぎゅうに縛りあげた。3週間後にその苗木がものすごい勢いで伸び始めた。
農業改革に挑む人たちを紹介する。
(左右社 1700円+税)