「大義」今野敏著
みなとみらい署刑事組対課暴力犯対策係の城島勇一警部補は、諸橋夏男から本牧のタツと呼ばれている70歳くらいの男が「常盤町のとっつぁんのタマ」を狙っているという噂を聞いた。「常盤町のとっつぁん」とは親分1人、子分1人の神風会の神野義治会長のことだ。
たった1人の組員、岩倉真吾に尋ねると、神野は夏祭りの寄り合いに行っているといい、神野が狙われているという話は知らないという。本牧のタツを知っている大文字宗三郎という男は介護付き老人ホームに入っていたが、本牧のタツのことを聞くと「あいつはたいしたやつだった」と繰り返す。どうやら認知症らしい。神野本人に聞いてみると、突然笑いだして、タツは「真剣師」だったという。
「ハマの用心棒」諸橋と相棒、城島の活躍を描く7編の警察小説。
(徳間書店 1760円)