「新宿特別区警察署Lの捜査官」吉川英梨著
歌舞伎町をはじめとする新宿の歓楽街のみを管轄する「新宿特別区警察署」、通称「新宿L署」。着任の初日、新井琴音警部は息子の発熱で大遅刻。署ではギャルのような服装の部下、堂原六花巡査部長が待っており、歌舞伎町のホテルで全裸女性の死体が見つかったと伝えられる。
遺体の女性は中尾美沙子43歳。一緒に宿泊していた18歳の息子・尚人は姿を消しており、現場には凶器を購入したレシート、そして使用済みのオナホールが残されていた。販売元に心当たりがあるという六花と共に聞き込みを始めた琴音は、やがて上司の「堂原がいないと2丁目は仕切れない」という言葉を痛感することに。そんな中、今度はショーパブで無差別殺傷事件が発生。犠牲者はオナホール販売者の女性で、事件当時、現場のパブでは六花と琴音の夫で警部補の敦が一緒に飲んでいた……。
生真面目な警察署幹部の琴音と、レズビアンを公言する異色の捜査官・六花との新コンビ、新宿L署の面々が事件解決に挑む警察小説。
猟奇事件の捜査を軸に、男性中心の組織で働く2人の女性の生きざま、現代社会にはびこる偏見などを織り込みながら展開。一気読み必至のエンタメだ。
(KADOKAWA 1600円+税)