「本日も晴天なり」梶よう子著
鉄砲百人組は大手三之門などの警備をしているが、薄給なのでツツジ栽培などをして糊口をしのいでいる。ある日、百人組同心、礫徳右衛門を貫田善七が10年ぶりに訪ねてきた。一色丹後守直安が主宰している俳諧の会に入りたいという。徳右衛門の息子、丈一郎が丹精したツツジに一色が目を留めたのが縁で、丈一郎は俳諧の会に誘われるようになったのだ。
3日後、貫田は風呂敷包みを持って、徳右衛門父子と一色の屋敷に向かう。一色の前に出ると、貫田は突然、風呂敷包みから鉄砲を取り出し、射撃の体勢を取った。「こうでもしなければ、奴らの不正を暴けぬ」。(「化けむじな」)
太平の世に、さまざまな事件に巻き込まれる武士の一家を描く6つの短編。 (集英社 1925円)