「女武者の日本史」長尾剛著
古代の日本では「戦争という行為」は男性の専売特許ではなく、豪族間の戦争に男も女も同様に参加したという。戦う女性は「女軍」(めいくさ・めのいくさ)と呼ばれた。そんな「女軍」たちの活躍を紹介する歴史読み物。
「日本書紀」には天皇家の祖先神である「天照大神」が女軍として描かれる。天照大神は、「根の国」に送られることになり、今生の別れを伝えにきた弟の須佐之男命を、高天原を奪いにきたと思い違いし、自ら武装して待ち構えたという。
以後、卑弥呼や神武天皇の女軍部隊から、会津戦争で新政府軍と戦った会津の女軍、そして「女軍の魂」で東京女子医科大学を創立した女医にして教育者の吉岡弥生まで。神話から近代まで連綿と続く戦う女性たちの生きざまを紹介する。
(朝日新聞出版 935円)