「処女の道程」酒井順子著
かつては、若い女性は結婚するまでは処女でいるべきだ、という感覚があった。「処女」は国語辞典では「性的経験をまだ持たない」とあるが、漢和辞典では、セックス経験には触れず「結婚せず、まだ家にいる」のが処女だとある。「処」は「居る」という意味で、処女の本来の意味は「実家にいる女」だった。女性にとって「結婚すること」「実家を出ること」「初めて異性と性交渉を持つこと」は同義だったのだ。
著者は29歳まで実家にいて、独身だったが、セックス経験という意味では処女ではなかった。それなのに実家にいるという処女っぽい行動をしていることへの違和感から実家を出たような気がする、という。
「処女」について酒井順子独特の視点からの考察。
(新潮社 1500円+税)