「モーリタニアン 黒塗りの記録」モハメドゥ・ウルド・スラヒ著 中島由華訳

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 モーリタニア出身の著者が、あの地獄のグアンタナモ収容所でしたためた手記。

 留学先のドイツで就職した氏は、短期間カナダで働いた後、2000年に12年ぶりに帰国。その間、アフガニスタンで共産政権との戦いのために当時はアメリカに支援されていたアルカイダの施設で軍事訓練を受けた。またカナダで通ったモスクにテロ未遂事件の犯人が出入りしていたことから、帰途にセネガルと母国で2度拘束され尋問される。しかし、証拠がなく釈放。その後、母国で働いているときに9・11同時多発テロが発生し、再び拘束され、グアンタナモに移送されてしまう。

 本書は、潔白を証明し、自らの身に何が起きたのかを克明に記した手記で、情報公開によって日の目を見たものである。多くの黒塗りが収容所内での出来事を生々しく伝える。今秋公開の話題の映画の原作。

(河出書房新社 1562円)

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