「大統領の条件」渡辺将人著
2009年の政権誕生直後に執筆されたオバマ元大統領の評伝。
アメリカ大統領の条件のひとつは、世界の指導者である前にアメリカ文化を体現する人物であること。しかし、オバマはタイムマシンで未来から来訪した異邦人のようで、ワシントンの「アウトサイダー」であるだけでなく、文化的にもアメリカの「アウトサイダー」だったと指摘。元大統領のその精神性の根源は前半生にあるという。
ケニア人留学生の父とカンザス州出身の母が出会ったハワイ、オバマの誕生後すぐに離婚した母の再婚相手の母国インドネシアで過ごした少年時代、さらにロサンゼルス、シカゴ、ワシントンと、足跡をたどりながら、関係者への綿密な取材を重ね、その人物像を浮き彫りにする。 (集英社 946円)