「不審者」伊岡瞬著
里佳子は、6年前、息子の洸太の出産を機に、夫・秀嗣の実家で姑の治子と同居を始めた。74歳になる治子は最近、物忘れなど言動が不安定だが、気が強く、自らの非は認めない。そんなある日、幼稚園児の洸太を迎えに行った里佳子は、職員から洸太が園のフェンス越しに見知らぬ男と会話をしていたと報告を受ける。
数日後、秀嗣が招いた客が家を訪ねてくる。ハンサムなその客は、21年前に治子と離婚した元夫が引き取り、生き別れた秀嗣の兄・優平だった。しかし、治子はその男を優平と認めない。商談のために上京したという優平は、秀嗣に引き留められ、しばらく滞在することになったが、里佳子は何かがひっかかる。
夫の兄の登場によって家庭が壊れていくさまを描くサスペンス&ミステリー。
(集英社 836円)