「共犯者」三羽省吾著
岐阜の山中で死体が発見された。顔や手指の損壊がひどく、身元特定は難航すると思われたが、1週間で氏名が公表される。正規のデータベース以外のものからDNAで割り出したらしい。
佐合優馬、54歳、住所不定、職業不詳。雑誌記者の宮治和貴は、遺体損壊の手段が公表されず、捜査本部が高山西部署から岐阜県警に移り、富山、石川県警が捜査に加わったことに不審を抱く。取材で接触した鳥内警視は宮治の父の教え子で、宮治と弟にとっては兄のような存在だが、なぜか取材を止めようとする。久しぶりに弟と会った宮治は、弟が事件に関わっているのでは、と感じるが……。
報道と家族への思いとの葛藤に揺れる記者の視点で描くサスペンス。
(KADOKAWA 1870円)