「レインメーカー」真山仁著
ITベンチャー企業を経営する野々村喬一の2歳の息子、喬太が熱を出した。県議会議長を務める父が紹介してくれた後援者の接待で帰りが遅くなった喬一は喬太を病院に連れて行くが、喬太は痙攣(けいれん)を起こし、意識がない。
病院で、予防接種の記録が記された母子手帳を持ってきたか聞かれたが、持ってこなかった。妻の結子が海外出張中で、予防接種を受けたかどうかもわからず、喬一は動揺する。麻疹か細菌性髄膜炎の疑いがあり、懸命な治療が行われたが、小さな命は助からなかった。病院の理事長が喬一の父の政敵の強力な後援者だったことから、父は「医療ミスじゃないのか」と言い出す。
医療過誤訴訟をめぐる法廷サスペンス。
(幻冬舎 1760円)