「どろどろの聖書」清涼院流水著
聖書は人類最大のベストセラーだが、クリスチャン人口が少ない日本でその内容を熟知している人は多くはない。しかし、聖書に人生を根底から変えられるほどの影響を与えられ、洗礼を受けた著者によると、聖書には実在した歴史上の人物たちの愛憎劇(スキャンダルやゴシップ)も無数に描かれているという。本書は、そんな聖書に描かれたどろどろの愛憎劇を紹介。読み進むうちに聖書の全体像まで理解できるという入門テキストだ。
親子2代にわたって、保身のために妻を権力者に売り渡した、ユダヤ教・イスラム教・キリスト教のすべてで「民族の父」と敬われるアブラハムとその息子イサク、自らと家族の保身のために町の全住民を売り渡したキリストの先祖である遊女ラハブなど、51のエピソードを収録。
(朝日新聞出版 869円)