「宗教は嘘だらけ」島田裕巳著
仏教徒が守らなければならない五戒をはじめ、キリスト教でもイスラム教でも聖典を持つ宗教は、嘘を禁じている。しかし、宗教の世界にもさまざまな嘘が存在する。
例えば、イエス・キリストは12月25日に生まれたとされるが、聖書にはその記述はない。キリスト教が広まる前、土着信仰で冬至に新年の訪れを祝う祭りが行われていたのをキリスト教が取り込んだのだという。
そもそも信仰の対象となっているのは、本当のことなのか。そんな宗教と嘘の関係を解き明かしながら、嘘の本質に迫るテキスト。
嘘をつくなと戒めるが、どの宗教もその理由を示していないのはなぜか、「嘘も方便」という言葉を生んだ仏教の歴史、「異端」が平気で嘘をつくのはなぜかなど。9つの視点から嘘について考察する。
(朝日新聞出版 891円)