「老人支配国家日本の危機」エマニュエル・トッド著
高名な人口統計学者による日本論。
日本の存亡に直面する一番の問題は「人口減少」と「少子化」であり、国家による大胆な少子化対策と、「日本人になりたい外国人」を移民として受け入れることこそが、安全保障政策以上の最優先課題だと説く。日本はコロナによる死亡率を最小限に抑えたが、それは高齢者の健康を守るために、若者と現役世代の生活に犠牲を強いた結果だと指摘。
日本で老人が敬われるのは「直系家族(長子相続)」という特有の家族構成が関係しているが、日本の少子化はこの「直系家族の病」でもあるという。
直系家族は、日本の長所であるとともに短所に反転することがあり、今の日本はそうした状況にあると分析。世界情勢にも触れながら、日本の進むべき道を示す。
(文藝春秋 935円)