「失われた時、盗まれた国」増田幸弘著
笹子善充が1985年に埼玉銀行に就職したとき、公定歩合は5%だったが、2年後には2.5%、銀行が金利で利益を上げるのは難しい時代だった。
トップセールスの成果を上げていた笹子は4年後、人材紹介会社を通して引き合いがあった為替ブローカー、メイタン・トラディションに転職する。外為法改正で対外取引が自由になった時期だった。銀行の売り注文と買い注文をつなげるのが仕事で、鉄火場のような職場だったが、笹子には合っていた。入会金300万円の中華料理店が人気を集めるというバブルの時代が、やがて破綻を迎える。
外為どっとコムの創設メンバーが語る日本金融史。
(作品社 2640円)