「ヤクザと過激派が棲む街」牧村康正著
バブル直前の1983年、1万人の日雇い労働者が暮らしている山谷のドヤ街で、ヤクザと新左翼過激派の本格的な抗争が勃発した。これは労働者を抑圧していた日本国粋会金町一家と山谷争議団の衝突で、「金町戦争」と呼ばれ、現在も終結していない。
70年代、三菱重工などの企業爆破事件を起こした東アジア反日武装戦線(反日)のメンバーだった黒川芳正らは日雇い労働者の経験があった。黒川が山谷の現場闘争委員会(現闘)を支援していたことから、現闘には「反日」を支持する者が多かった。
一方、新左翼の活動家は自分の学生という恵まれた立場を否定し、弱者の立場に立とうと、山谷争議団を支援するようになったのだ。
暴力革命を目指した新左翼の過激派と、山谷を支配するヤクザとの闘いを描く、熱いノンフィクション。
(講談社 1800円+税)