「宗歩の角行(そうほのかくぎょう)」谷津矢車著

公開日: 更新日:

 貧乏長屋に住む浪人崩れの天野の義理の息子、留次郎は将棋が強いと評判だった。噂を聞いて一局指しにきた将棋家の大橋宗桂に勝った留次郎は角行が好きだと言った。鵺(ぬえ)のごとくどこまでも行ける気がすると。

 留次郎が6歳のとき、対局した相手は、定跡を正確に覚えていながら時に定跡外れの手を打つ留次郎に震え上がった。大橋分家の伊藤宗印は留次郎との対局で、角は飛車に劣ると考えられているが、彼のつくり出す混沌極まりない盤面の上なら角は飛車に負けぬ光彩を放つと気づく。

 江戸末期に活躍し、近代将棋の定跡の基礎を築いた天才棋士、天野宗歩の孤独と絶望の人生を描く伝記小説。

(光文社 1980円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    六代目山口組・高山若頭の相談役人事の裏側を読む

  2. 2

    大物の“後ろ盾”を失った指原莉乃がYouTubeで語った「芸能界辞めたい」「サシハラ後悔」の波紋

  3. 3

    “マジシャン”佐々木朗希がド軍ナインから見放される日…「自己チュー」再発には要注意

  4. 4

    フジ経営陣から脱落か…“日枝体制の残滓”と名指しされた金光修氏と清水賢治氏に出回る「怪文書」

  5. 5

    「とんねるず」石橋貴明に“セクハラ”発覚の裏で…相方の木梨憲武からの壮絶“パワハラ”を後輩芸人が暴露

  1. 6

    上沼恵美子&和田アキ子ら「芸能界のご意見番」不要論…フジテレビ問題で“昭和の悪しき伝統”一掃ムード

  2. 7

    “路チュー報道”STARTO福田淳社長がフジ新取締役候補というブラックジョーク…堂本光一も痛烈批判

  3. 8

    石橋貴明のセクハラに芸能界のドンが一喝の過去…フジも「みなさんのおかげです」“保毛尾田保毛男”で一緒に悪ノリ

  4. 9

    ドジャース佐々木朗希 160キロ封印で苦肉の「ごまかし投球」…球速と制球は両立できず

  5. 10

    ダウンタウン浜田雅功“復帰胎動”でまたも「別人疑惑」噴出か…中居正広氏「病後復帰」では陰謀論がワンサカ