「はしからはしまで」梶よう子著
看板娘・お瑛と長太郎の兄妹は、茅町ですべての商品を三十八文で売る「みとや」を営む。ある朝、乾物屋の息子・清吉が気落ちした様子で訪ねてきた。噂を聞いたらしい。1年ほど前からみとやのはす向かいで総菜屋を営むお花が、手習い塾を開く元武士の道之進と祝言を上げることになったのだ。吉原の元おいらんのお花を目当てに、総菜屋は連日、男たちが行列をつくり大繁盛。お花と道之進の祝言は、江戸中の噂になっていた。
そんな中、お瑛は道之進の息子・直之から、最近、町中で父親を尾行する男がいると聞かされる。その夜遅く、お瑛は長太郎を誘って飲みにいった呉服屋の寛平が表戸を叩く音で起こされる。
お瑛が人生最大の悲しみと困難に立ち向かう時代小説シリーズ第3弾。
(新潮社 737円)