「日本のコメ問題」小川真如著
コメ離れや耕作放棄の一方で、市場ではブランド米や業務用米などの多様な品種がしのぎを削り縮小するパイを巡り熾烈な争奪戦を繰り広げている。山積するコメ問題を日本人とコメとの関わりから考察したリポート。
かつてのコメ問題は食料の確保や値段、コメ余り、輸入阻止、関税、規制緩和などが大きなテーマだった。現在のコメ問題を複雑化させているのは、コメを間接的に支える財政負担だという。コメを作らない田んぼで作られる農作物や、田んぼの維持や改良に対する多額の支援など、コメへの財政負担と言われるが実は田んぼへの支援が大きく、現代のコメ問題はコメそのものを巡る問題ではなく田んぼを巡る問題にとって代わっていると指摘。コメと田んぼを分けてみることで日本のコメ問題の本質に迫る。 (中央公論新社 1056円)