「ミツバチ大量死は警告する」岡田幹治著
■「“原発ムラ”と同じように“農薬ムラ”が存在します」
「きっかけは、2009年、ミツバチの大量死で、イチゴやメロンの受粉ができずに園芸農家が困ったというニュースでした。調べていくと、ミツバチがいないと農業も自然も成り立たないこと、神経が発達しているハチはわずかな環境変化にも反応するので、危険性を知らせてくれる存在だとわかりました」
アメリカやヨーロッパでもミツバチの大量消失が続いた。原因は複合的だが、ネオニコチノイド系(以下、ネオニコ系)という新タイプの農薬が影響しているようだ。
「昔の有機リン系の農薬は、散布するとき吸い込んだ農家の人が体調を壊しました。それでは困るということで開発されたのがネオニコ系農薬です。効果も大きく使いやすいのが特徴で、とくに高齢の農業者に便利なんです」
害虫に長く効く利点は、裏返せば毒性が長く残留するということだ。使用回数は減るので「特別栽培農産物」として「化学合成農薬の使用回数が半分」と低農薬のイメージで売ることもできる。